
【ワシントン=塩原永久】トランプ米大統領は23日、48時間以内にホルムズ海峡を開放しなければ、イランの発電所を破壊するとした通告をいったん撤回した。方針転換を表明したのは、米株式市場の取引開始直前。紛争長期化への投資家の懸念を和らげようとする思惑が見え隠れする。だがイラン側とは、停戦協議を巡る情報発信に食い違いが目立ち、トランプ氏の真意はみえない。
トランプ氏が自身のSNSで、イランの発電所への攻撃を5日間、延期すると投稿したのは、米東部時間23日午前7時半ごろ。ニューヨーク株式市場の取引が開始される約2時間前だった。
イランが事実上、封鎖するホルムズ海峡は、中東の産油国から原油を搬出する石油タンカーの主要航路だ。トランプ氏が当初、「48時間以内」に同海峡を開放するよう要求する投稿を掲載したのは、米株式市場が週の取引を終えた翌日となる21日夜だった。
自身の「48時間」通告を受け、週明け23日はアジアや欧州市場の多くで取引開始直後から株式相場が大きく下落。米株価の歴史的な高さを誇るトランプ氏として、海外市場の株安が米市場に波及するのを防ぐため、取引開始前に攻撃延期を表明した狙いが浮かぶ。
一方、トランプ氏が23日の投稿で、2日間にわたってイランと生産的な協議を実施したなどと主張したことに対し、イラン側がただちに否定するなど、米イラン間で停戦協議に向けた認識の隔たりは大きい。
トランプ氏は23日の米FOX系のインタビューで「イランがひどく合意したがっている」と話した。だが、「イランは依然としてホルムズ海峡の船舶の安全な航行を阻止できる立場にある」(米外交関係者)とされ、対米協議を進めるかどうかの有力なカードを握っているといえる。